カバマダラは南北アメリカをのぞく全世界に分布する普遍的な種で、暑い乾燥した気候にも耐える丈夫でしぶといマダラチョウです。それだけに、色彩や斑紋にもいろいろなバリエーションがあります。やはり、アフリカ、アジアを中心に数多くの国の蝶切手に採り上げられています。 黒色とオレンジ色の警告色があり、前翅に白い帯があり前後の翅の周囲は黒く縁取られています。近縁のスジグロカバマダラは名前の通り翅脈が黒いのに対し、カバマダラは翅脈に黒い鱗粉がなくすっきりとしたオレンジ色になっています。後翅の黒い斑紋の大きさや配置、後翅の色などにより型(亜種)に分けられています。 日本にも奄美諸島以南の南西諸島に生息しており、ほぼ一年中人家や耕作地周辺で見ることができます。日本産は中東から東南アジアにかけて広く分布する亜種と同じ集団になります。シンガポール、パキスタン、アラブ首長国連邦などの切手に描かれている種類です。 |
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1953.5.28 モザンビーク |
1958.11.23 スペイン領ギニア |
1963.7.20 セネガル |
1966.10.3 モーリタニア |
1966.11.23 イフニ |
1970.11.21 トーゴ |
1970.11.23 スペイン領サハラ |
1971.6.30 オートボルタ |
1973.9.3 レソト |
1973.12.3 タンザニア |
1979.6.8 サントメ・プリンシペ |
1980.3.17 ジブチ |
1980.10.6 マリ |
1982.10.20 イラク |
1983.2.15 パキスタン |
1983.7.1 ココス諸島 |
1984.1.20 レソト |
1984.6.7 ハンガリー |
1984.11.5 ボツワナ |
1993.8.21 シンガポール |
1997.1.28 アラブ首長国連邦 |
カバマダラの幼虫はオレンジ色を帯びた黒色と青白色の縞がありトウワタ科の植物を食べます。トウワタ科の植物には神経系統に激しく作用する有毒なアルカロイドなどを含んでおり、成虫になってからもその成分が体内にとどまり、何度か食べていやな経験をした鳥はカバマダラを食べなくなります。黒色とオレンジ色の外観は警告色として鳥に働きます。 このカバマダラの形、色、動きなどに似せることにより、自分自身は無毒でも鳥などからの捕食から免れることができます。タテハチョウ科のメスアカムラサキの雌がそれにあたります。このような現象を擬態といいますが、有毒の蝶に無毒の蝶が擬態するケースをベイツ型擬態(模倣擬態)と呼びます。 ジブチやオートボルタの切手に描かれているカバマダラは、後翅が白いアフリカ赤道付近に分布する亜種ですが(アトジロカバマダラとして別種に扱う場合もあるようです)、面白いことにこの付近のメスアカムラサキの雌もまた後翅が白くなっています。 |