メスアカムラサキは、アジア、アフリカ、南アメリカなど全世界に広がっているタテハチョウで、雌雄の外観が著しく異なる蝶の代表として有名です。雄の斑紋は地域による差はほとんどありませんが、雌は擬態するため地域それぞれの相手にあわせて変化します。主にカバマダラに擬態しており、カバマダラの変異に応じて地理的な変化があります。カバマダラと違い飛ぶのは早く、庭やその他平らなところで観察することができます。 切手にも世界各国で採り上げられており、雄だけ、雌だけ、雌雄両方というように見せ方も様々です。ジャマイカやクリスマス島の切手では雌雄の違いがよく分かります。ココス諸島の切手では雄の裏面が描かれています。 |
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1964.6.1 マリ ♂ |
1966.10.3 モーリタニア ♂ |
1971.6.21 アンギラ ♂ |
1971.6.30 オートボルタ ♂ |
1973.11.12 英領インド洋地域 ♂(下) アルダブラツマキチョウ(上) |
1975.3.21 アファール・イッサ ♀(左) ♂(右) |
1975.10.30 アンティグア ♀ |
1977.5.9 ジャマイカ ♂(上) ♀(下) |
1978.4.6 セントビンセン ♂ |
1978.4.10 セイシェル ♀ |
1979.6.8 サントメ・プリンシペ ♂ |
1980.7.12 コンゴ人民共和国 ♂(上) 翅の裏(下) |
1980.10.6 マリ ♂ |
1982.6.1 ドミニカ国 ♂ |
1983.1.6 ココス諸島 ♂ |
1983.2.8 バルバドス ♂ |
1984.1.20 レソト ♀(左) ♂(右) |
1987.8.10 モントセラト ♂ |
1988.3.1 クリスマス島 ♂(左) ♀(右) |
メスアカムラサキの英名のMimicとは、「まねる。まねてばかにする」の語源から擬態するという意味を持つ言葉です。擬態という言葉そのものが種名になっています。 ところで、メスアカムラサキの雌の擬態の相手であるカバマダラは南北アメリカには生息していないため、南米ギアナから西インド諸島、さらにフロリダあたりまで生息するメスアカムラサキの雌の擬態の相手ははっきりしません。カバマダラの近縁種であるオオカバマダラが第一の候補になるのでしょうが、オオカバマダラはメスアカムラサキよりも大型で前翅のオレンジ色も濃く、翅脈も暗黒色の縁取りがありかなり違いがあります。これは一説には西インド諸島を中心に生息するメスアカムラサキは、旧大陸から奴隷船に乗ってカリブ海に運ばれてきたためではないかと考えられています。 日本でも南西諸島を中心に毎年かなりの採集記録がありますが、定着は確認されていません。台湾や大陸からの迷蝶として知られています。 |