ジャマイカ Jamaica

カリブ海に浮かぶ島国ジャマイカにはホメルスアゲハという素晴らしい特産種が生息しています。開張が13cmと南北アメリカに生息するアゲハチョウの中で最大の種類です。このホメルスアゲハを描いた6ペンスの切手が1964年に発行された16種の新しい通常切手の一つに採用されました。他の絵柄が地図、国旗、国花、国鳥などが選ばれていることからも、このホメルスアゲハがジャマイカの国蝶と考えられているのでしょう。

この6ペンスの通常切手を台切手として、1966年に英国女王のジャマイカ訪問を記念する加刷切手が、1969年には通貨がポンド/ペンスから十進法のドル/セントに切り替わったことによる料額変更の加刷切手が発行されました。また、1970年には額面を5セントとした正刷の通常切手が発行されました。同じ図案で4種の切手が発行されるという、蝶切手としては珍しい例になっています。


1964.5.4 通常切手

ホメルスアゲハ
Papilio homerus
(アゲハチョウ科)


女王来訪(加刷)
1966.3.3

通常切手(十進法加刷)
1969.9.8

通常切手(十進法正刷)
1970.9.7


ジャマイカ島には119種類の蝶がいて、そのうち20種類がジャマイカ特産種といわれています。キューバも特産種が多いことでよく知られていますが、秋田県とほぼ同じ大きさの小さな島にも変わった種類の蝶が数多く生息しています。ホメルスアゲハの記録は1793年以来とかなり古く、多くの昆虫学者が研究していますが生活史の詳細はまだよく分かっていないようです。この蝶の故郷はジャマイカ特産の最高級コーヒーの銘柄として名高いジャマイカ島東部のブルーマウンテンという山地です。


ジャマイカからはその後、蝶切手が発行され続けており、やや乱発気味ではありますが蝶切手としての質は非常に高いものがあります。1975年から1978年にかけて3次にわたって発行されたシリーズでは、翅の表と裏、あるいは、雄と雌を正確に描いています。ホメルスアゲハも1975年の第1次シリーズの最高額面に再登場しています。


1975.8.25 蝶切手(1次)

ジャマイカトラフタイマイ
Eurytides marcellinus
(アゲハチョウ科)
タスキアゲハ
Papilio thoas
(アゲハチョウ科)
Papilio thersites ♂
(アゲハチョウ科)
ホメルスアゲハ
Papilio homerus
(アゲハチョウ科)


小型シート


1977.5.9 蝶切手(2次)

アトジロキチョウ
Eurema elathea
♂(上) ♀(下)

(シロチョウ科)
ウラギンタテハの一種
Dynamine egaea
♂(上) ♀(下)

(タテハチョウ科)
Atlantea pantoni
♂(上) ♀(下)

(タテハチョウ科)
メスアカムラサキ
Hypolimnas misippus
♂(上) ♀(下)

(タテハチョウ科)


小型シート


1978.4.17 蝶切手(3次)

Cyanophrys crethona ♂
(シジミチョウ科)
ミドリタテハ
Siproeta stelenes ♂
(タテハチョウ科)
アオネオナガセセリ
Urbanus proteus ♂
(セセリチョウ科)
キノハタテハの一種
Anaea troglodyta ♀
(タテハチョウ科)


小型シート


1994年にホメルスアゲハを描くシリーズが発行されました。小型シートの1種を加え5種類の異なるホメルスアゲハの姿が描かれています。デザインも良い出来で上品な仕上がりになっています。ジャマイカの国蝶として風格あるシリーズだと思います。


1994.8.18 ホメルスアゲハ

ホメルスアゲハ
Papilio homerus
(アゲハチョウ科)


小型シート



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