レバノン Lebanon

世界最初の昆虫切手は中近東のレバノンから発行されました。1930年にレバノンの首都ベイルートで開催された蚕業会議記念のカイコを描く6種の切手です。幼虫、繭、成虫、それに食草の桑を描いた素朴な中にも品の良さが漂う好感の持てる仕上がりになっています。詳しくは「世界最初の蛾の切手」をご覧ください。


1930.2.11 蚕業会議記念

カイコガ(幼虫、繭、成虫)
Bombyx mori
(カイコガ科)


1965年に発行された通常切手には蝶の図柄が採用されました。凹版多色刷りのしっかりした風格のある切手に仕上がっています。ただ残念なことは、採用されている蝶の種類がキプリスモルフォのように中南米産で決して自国には分布しないものが含まれており、通常切手の絵柄としてはちょっと疑問を感じます。70pの切手にはキアゲハを示すMACHAONの文字がありますが、図案はアメリカキアゲハのように見えます(ガミさんの指摘によります)。1972年には額面を変更した加刷切手が3種発行されています。


1965 通常切手

1965.7.12 1965.2.9 1965.2.5
ジョウザンヒトリ
Pericallia matronula
(ヒトリガ科)
アカスジドクチョウ
Heliconius erato
(ドクチョウ科)
ヨーロッパアカタテハ
Vanessa atalanta
(タテハチョウ科)

1965.6.29 1965.8.6 1965.4.8
キマダラタカネジャノメ
Hipparchia semele
(ジャノメチョウ科)
アメリカキアゲハ
Papilio zelicaon
(アゲハチョウ科)
クモマツマキチョウ
Anthocharis cardamines ♂
(シロチョウ科)

1965.5.18 1965.2.22 1965.3.11
キプリスモルフォ
Morpho cypris ♂
(モルフォチョウ科)
サツマニシキの一種
Erasmia sanguiflua
(マダラガ科)
クラススアオジャコウアゲハ
Battus crassus
(アゲハチョウ科)

1965.11.4
ミズイロフタオチョウ
Charaxes ameliae
(タテハチョウ科)


1972.4.24 通常切手(加刷)

ミズイロフタオチョウ
Charaxes ameliae
(タテハチョウ科)


1972.5.1 通常切手(加刷)

クラススアオジャコウアゲハ
Battus crassus
(アゲハチョウ科)


蝶の図柄を通常切手として採用した国は数多くあります。日本でもオオムラサキミカドアゲハなどを描いた通常切手が使用されていますが、通常切手を蝶(と蛾)の図柄だけで統一したロングセットは、使用期間も長く使用済なども数多く入手できその華やかさと共に非常に好感が持てます。例えば、モザンビークの1953年発行の20種のロングセットはその最初の例です。その他にも、ルワンダ(1965-66年:12種)パプアニューギニア(1966年:12種)エクアドル(1970年:20種)ボリビア(1970年:10種)マレーシア(1970年:8種)ニュージランド(1970年:6種)タンザニア(1973年:15種)などで蝶切手を通常切手として発行しています。



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