マレーシアからは1970年に通常切手として計8種の蝶切手が発行されました。低額4種と高額4種の2回に分けて発行されました。描かれている蝶は東南アジアに独特の種類であり、非常に魅力的な選択となっています。背景にジャングル模様を描いたマージンなしのデザインも独特で、なかなか印象的なシリーズになっています。 |
1970.8.31 通常切手
マルバネルリマダラ Euploea leucostictos ♂ (マダラチョウ科) |
(ワモンチョウ科) |
オビモンフタオチョウ Polyura athamas (タテハチョウ科) |
ナガサキアゲハ (アゲハチョウ科) |
ルリオビトガリバワモンチョウは、鋭くとがった前翅と後翅の青柴色の斑紋が非常に魅力的です。マレーシアの他、タイとスマトラの森林に生息しています。ナガサキアゲハは、日本の近畿地方以西から東南アジアを経てインドまで分布する大型のアゲハチョウで、アゲハチョウに特有の尾状突起があるもの(有尾型)とないもの(無尾型)があることで有名です。オビモンフタオチョウは、東南アジアに特有のポリウラ属のフタオチョウです。 ところで、オビモンフタオチョウとナガサキアゲハの切手をよく見てください。背景に描かれている食草と思われる植物に幼虫が描かれています。幼虫を描いた切手としては、タブに幼虫を描いたイスラエルの蝶切手や、幼虫だけを描いた蝶切手などがありますが、成虫と幼虫を一緒に描いた切手は比較的珍しいです。下の高額4種も含めてこの一連の蝶切手の企画には、マレーシア大学の昆虫学の権威が助言を与えたそうです。 |
1970.11.16 通常切手
ベニシロチョウ Appias nero ♂ (シロチョウ科) |
アカエリトリバネアゲハ Trogonoptera brookiana ♂ (アゲハチョウ科) |
オオムラサキシジミ Narathura centaurus ♂ (シジミチョウ科) |
ムラサキヒョウモン Terinos terpander ♂ (タテハチョウ科) |
ベニシロチョウは、全身がオレンジ色一色という世界でも唯一の美しい大型のシロチョウです。インド北部からマレー半島、フィリピンまで広く分布します。雌は雄と違い翅が黒色に縁取られ後翅に黒い帯があります。アカエリトリバネアゲハは世界最初の蝶切手にも採り上げられた大型の美しい蝶です。ムラサキヒョウモンは、英名を「アッシリアの王(Royal Assyrian)」といいますが、黒色の翅に輝く紫色にちなんでいます。マレーシア、ジャワ、ボルネオに生息しています。 |
1971年にマレーシアを構成する13の州から蝶を描く通常切手が統一されたデザインで発行されました。各州から7種ずつで合計91種という蝶切手としては最大規模のシリーズです。1971年の最初の発行以降も州の紋章や首長の変更による発行があります。量が多いので独立ページで紹介します。 |
1978.11.16 通常切手(コイル)
ツマベニチョウ Hebomoia glaucippe ♂ (シロチョウ科) |
アオタテハモドキ Precis orithya ♂ (タテハチョウ科) |
1978年には2種のコイル切手が発行されました。1971年に発行された同国13州の首長や紋章を配した各7種の蝶切手(合計91種)のシリーズの中の2種と共通のデザインになっています。どちらの種類も日本にも生息する蝶です。ツマベニチョウはアジア最大のシロチョウで、開長が7-10cmと大型のアゲハチョウクラスであり、日本でもいわゆる生きた蝶の展示館などでもオオゴマダラなどとともによく飼育されているのを見かけます。アオタテハモドキは、日本では八重山諸島に繁殖する種類で、後翅の青い模様が妖しい美しさを醸し出しています。 |