日本の蝶と蛾の切手は1956年発行の75円オオムラサキから1997年発行の30円ベニシジミまで16種類です(ゆうぺーんを除く)。オオムラサキが3回、ミカドアゲハとモンシロチョウが2回登場しています。種類数で数えると蝶が12種類、蛾が1種類です。 |
通常切手
1956.6.20 | 1966.9.1 |
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オオムラサキ Sasakia charonda (タテハチョウ科) |
1974年から1978年にかけて自然保護シリーズとして20種の切手が発行されました。イリオモテヤマネコやニホンカワウソなど絶滅の危機にある動植物がその図案に選ばれていますが、その中の1種にミカドアゲハを描いた切手があります。1980年には国際昆虫学会が京都で開かれたのを記念してギフチョウを描いた切手が発行されました。ミカドアゲハの切手はちょっと生き生きとした感じがなく今一つです。ギフチョウの切手は標本的ですがバランスもよく、日本切手の中では一番好きな蝶切手です。 |
自然保護シリーズ 1977.5.18 |
第16回国際昆虫学会議記念 1980.8.2 |
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ミカドアゲハ Graphium doson (アゲハチョウ科) |
ギフチョウ Luehdorfia japonica (アゲハチョウ科) |
ミカドアゲハは、体長約7cmの大型のアゲハチョウで、東南アジアに広く分布する種類ですが、日本では沖縄、九州から対馬、山口県、四国、紀伊半島南部、さらには愛知県の知多半島まで分布しています。高知市の「ミカドアゲハおよびその生息地」が特別天然記念物に指定されています。「ミカド(帝)」という名前から戦前、国蝶候補の一つに上げられましたが、和名の由来は古い学名の mikado からきており(命名者はリーチ)、もともと国産の名称ではありません。 ギフチョウは、体長約5cmの小型のアゲハチョウ。日本固有種であり、山口県から秋田県まで本州各地に生息します。ギフチョウの名前は岐阜県で最初に発見されたことに由来しています。年に1回、桜の花が咲く頃にだけ発生するため「春の女神」とも呼ばれる可憐でエレガントな蝶です。オオムラサキでなくギフチョウこそが国蝶にふさわしかったとする人も多くいます。 |
菜の花のまわりを飛ぶ2羽のモンシロチョウを描いた40円の通常切手が1980年に発行されました。翌年の4月1日からは葉書の料金が40円になったことからこの切手は誰でも目にするようになりました。誰でも知っていて日本全国どこでも見られるモンシロチョウが、よく使われる切手に描かれたことはとても嬉しいことでした。ただ欲を言えばもうちょっと大きく蝶を描いて欲しかったと思います。 |
通常切手
1980.10.1 | 1981.4.1 |
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モンシロチョウ Pieris rapae (シロチョウ科) |
1986年から1987年にかけて昆虫シリーズの切手が第1集から第5集まで発行されました。第1集から第4集までは各4種が、第5集では昆虫切手4種と小型シート1種が発行されました。蝶切手は各集に1種ずつ含まれています。第3集は蝶ではなく蛾の切手になっています。また、第5集の小型シートには4種の蝶切手が組み合わされていますが、そのうちの2種は小型シートのみの切手です。 |
昆虫シリーズ
第1集 1986.7.30 | 第2集 1986.9.26 | 第3集 1986.11.21 | 第4集 1987.1.23 |
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ウスバキチョウ Parnassius eversmanni (アゲハチョウ科) |
キリシマミドリシジミ Thermozephyrus ataxus ♂♀ (シジミチョウ科) |
ウスバツバメガ Elcysma westwoodii (ツバメガ科) |
アサギマダラ Parantica sita ♂ (マダラチョウ科) |
第5集 1987.3.12 | 第5集(小型シートから) 1987.3.12 | |
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コノハチョウ Kallima inachus ♂ (タテハチョウ科) |
クモマツマキチョウ Anthocharis cardamines ♂♀ (シロチョウ科) |
オオムラサキ Sasakia charonda ♂ (タテハチョウ科) |
昆虫シリーズ第5集のコノハチョウは沖縄(琉球)切手に描かれています。同じ第5集の小型シートにのみ描かれたオオムラサキは国蝶にふさわしく3度目の登場です。 |
1990年3月20日に行われた「郵便切手デザインコンクール」で郵政大臣賞を受賞した2作品が切手の図案となり6月1日に発行されました。そのうちの1作品はアザミの花にとまる蝶が描かれています。この切手は純蝶切手ではなく準蝶切手として扱われるのが普通だと思いますが、描かれている蝶が克明であり、作者が熊本市に在住のデザイナーであることからもオオウラギンヒョウモンをモデルに描かれていると思われます(ただし、正確ではありません)。デザイン画でありどちらかというと絵画切手に分類される切手ですが、スリナムの女流画家による蝶蛾切手の例もあることから、敢えてここで採り上げました。 |
郵便切手デザインコンクール「緑の世界」
1990.6.1
オオウラギンヒョウモン Fabriciana nerippe (タテハチョウ科) |
自然保護シリーズで描かれたミカドアゲハが15円の通常切手として1994年に再登場しました。すっきりとしたデザインで好感が持てます。日本の通常切手の図案も1992年から統一されつつありますが、低額面の切手には昆虫の図案が使われています。9円のシオカラトンボ、15円のミカドアゲハ、18円のテントウムシです。 1997年11月に3種の昆虫を描いた切手が通常切手シリーズに仲間入りしました。10円のコアオハナムグリ、20円のニホンミツバチ、そして30円のベニシジミです。ベニシジミの切手はデザイン・色彩ともに出来が今一つで残念です。 |
通常切手
1994.4.25 | 1997.11.28 |
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ミカドアゲハ Graphium doson (アゲハチョウ科) |
ベニシジミ Lycaena phlaeas (シジミチョウ科) |
1986年から1987年にかけての昆虫シリーズでは数多くの昆虫切手が発行されました。それ以前の自然保護シリーズでも3種の昆虫切手が発行されています。低額面の通常切手にもカブトムシをはじめいくつかの昆虫が描かれています。世界的に昆虫切手=蝶や蛾の切手が主流の中にあって、日本の昆虫切手に占める蝶と蛾の切手の割合は比較的少なくなっています。昆虫の選定にあたって蝶や蛾に偏らないようにとの配慮が見られます。日本の昆虫切手はこちらをどうぞ。 |