東欧諸国の一つポーランドからの蝶切手です。1961年に12種の昆虫切手を発行しました。このうち蝶が3種、蛾が1種含まれています。残り8種はオサムシ3種、カミキリムシ2種、クワガタムシ、アリ、ハチが各々1種づつとなっています。最近は昆虫切手といえばほとんどが蝶と蛾のシリーズですが、1950年から60年頃の昆虫切手創生期には、このような蝶を含む昆虫切手シリーズも比較的多く見かけられました。 ポーランドの切手は大型であることが特徴で、この1961年のシリーズをはじめその後発行されている蝶切手も大型のものばかりです。スイスの蝶切手の緻密で品のある仕上がりと比較するとやはり大味でラベルのような感じを受けてしまいます。ただ、この1961年の発行については素朴な味わいがありまずまずの出来ではないかと思います。 |
1961.12.30 昆虫切手
クロホシウスバシロチョウ Parnassius mnemosyne ♂ (アゲハチョウ科) |
ヨーロッパメンガタスズメ Acherontia atropos (スズメガ科) |
ヨーロッパタイマイ Iphiclides podalirius (アゲハチョウ科) |
アポロウスバシロチョウ Parnassius apollo (アゲハチョウ科) |
クロホシウスバシロチョウは、ヨーロッパの大部分の地域から小アジア、シベリアまでのかなり広い範囲に分布するウスバシロチョウ属の一種です。標高300〜500mの低山地帯に分布しますが、小アジアや中央アジアでは高山帯に分布しています。日本にも分布するウスバシロチョウやヒメウスバシロチョウに非常に近い種類です。残りのヨーロッパメンガタスズメ、ヨーロッパタイマイ、アポロウスバシロチョウはヨーロッパ諸国を中心に頻繁に採り上げられているお馴染みの種類です。 |
1967年には、すべて蝶の9種からなるロングセットが発行されました。1961年の昆虫切手と大きさはほぼ同じなのですが、デザインのせいかこちらの方が小さく見えます。単一色で塗りつぶされた背景に、図鑑的な蝶が大きく描かれていて、「これは蝶切手だぞ!」と云わんばかりのデザインです。個人的にはあまり好きになれない貧弱なデザインだと思っています。描かれている蝶は、前回と重複しないように選ばれており、いづれもヨーロッパに普通に分布する蝶ばかりです。クジャクチョウ、キアゲハ、ヨーロッパアカタテハなどお馴染みの種類もたくさん含まれています。 |
1967.10.14 蝶切手
クジャクチョウ Inachis io (タテハチョウ科) |
キアゲハ Papilio machaon (アゲハチョウ科) |
コヒオドシ Aglais urticae (タテハチョウ科) |
キベリタテハ Nymphalis antiopa (タテハチョウ科) |
チョウセンコムラサキ Apatura iris (タテハチョウ科) |
ヨーロッパアカタテハ Vanessa atalanta (タテハチョウ科) |
モトモンキチョウ Colias hyale (シロチョウ科) |
ヨーロッパシロジャノメ Melanargia galathea (ジャノメチョウ科) |
アリオンゴマシジミ Maculinea arion ♀ (シジミチョウ科) |
1977年、とんでもなく大きな蝶切手を出してくれました。さすが大型切手の神髄ポーランドです。おそらくこれまでに発行された蝶切手の中でも、もっとも大きい部類に入ると思います。マージン無しのぼかしの入った背景に写真のような蝶の絵柄、ちょっと趣味が悪いんじゃないって感じです。選ばれている蝶は、前回、前々回と重複もありどちらかというと一般的な種類ですが、ヒョウモンチョウが2種も入っているところはちょっと変わっています。 ミドリヒョウモンはその名の通り、後翅の裏面の大部分が緑色をしています。英名を「Silver-washed Fritillary」といいますが、silver-washed は英語で「銀メッキをしたような」という意味で、翅裏をみせて花にとまっているところなどは輝いていて美しい蝶です。ウラギンヒョウモンも後翅の裏面の白色の斑点が特徴です。どちらの種類もヨーロッパから日本にかけて生息しています。 |
1977.8.22 蝶切手
アポロウスバシロチョウ Parnassius apollo (アゲハチョウ科) |
ヨーロッパヒオドシチョウ Nymphalis polychloros (タテハチョウ科) |
キアゲハ Papilio machaon (アゲハチョウ科) |
キベリタテハ Nymphalis antiopa (タテハチョウ科) |
ウラギンヒョウモン Fabriciana adippe (タテハチョウ科) |
ミドリヒョウモン Argynnis paphia (タテハチョウ科) |
1991年に6種連刷の蝶蛾切手が発行されました。いずれもお馴染みの種類ばかりで、キアゲハはなんと3回目の登場になります。ヨーロッパオニベニシタバとシタベニヒトリはどちらも美しい蛾で切手にも何回か登場しています。美しい蝶が少ないヨーロッパでは、ヒトリガなどの比較的美しい蛾が切手にも頻繁に採り上げられています。 |
1991.11.16 蝶蛾切手
キアゲハ Papilio machaon (アゲハチョウ科) |
ヨーロッパオニベニシタバ Catocala sponsa (ヤガ科) |
ヒメアカタテハ Vanessa cardui (タテハチョウ科) |
ヨーロッパタイマイ Iphiclides podalirius (アゲハチョウ科) |
シタベニヒトリ Callimorpha dominula (ヒトリガ科) |
クジャクチョウ Inachis io (タテハチョウ科) |