紳士の国イギリスから発行された4種の蝶切手です。一般的にヨーロッパの蝶の種類は世界の他の地域と比較して、種類も少なく地味な種類が中心です。その中でもとくにイギリスにはたった60種あまりの蝶が分布しているだけで、しかもイギリスの固有種がなく、わずかにキアゲハのイギリス亜種が地域性を示している程度です。 そんなイギリスからはじめての蝶切手が1981年にようやく発行されました。しかしその出来映えはなかなかとのもっぱらの評判のようです。実は私自身はこの蝶切手の出来映えはさほど気に入っていません。くすんだ緑の背景に不自然な形で蝶が配置されていて、どちらかというと図鑑的なデザインが好きな私には今一つと感じます。ただ、アリオンゴマシジミの切手だけは、自然な形で優雅な感じが表されておりなかなかのものと思います。 |
1981.5.13 蝶切手
コヒオドシ Aglais urticae (タテハチョウ科) |
アリオンゴマシジミ Maculinea arion ♂ (シジミチョウ科) |
クジャクチョウ Inachis io (タテハチョウ科) |
タカネキマダラセセリ Carterocephalus palaemon (セセリチョウ科) |
そのアリオンゴマシジミはアリの巣で育つことで有名な蝶です。英語で Large Blue と呼ばれるように、ヨーロッパでアリの巣で育つシジミチョウの中では最大の種です。アリオンゴマシジミの学名にある「arion」の由来は、古代ギリシアの半伝説的な吟遊詩人の名にちなんでいます。アリオンゴマシジミとタカネキマダラセセリは、イギリスでは絶滅に近い状態になっているそうです。 イギリスからの発行に遅れること4年目の1985年に、隣国のアイルランドから姉妹編ともいうべきデザインや大きさがそっくりの4種の切手が発行されています。 |