ドルーリーオオアゲハの切手

アフリカ最大の蝶、ドルーリーオオアゲハを描いた切手を集めました。ドルーリーオオアゲハは、翅を広げた時の長さ(開張)が最大で25cmにもおよぶ世界最大級の蝶です。スマートな細長い前翅、触覚が体の大きさに比べて小さいこと、腹部が細長いことなどが特徴です。和名のドルーリーオオアゲハは命名者のDruryからきています。西アフリカの熱帯雨林に棲息しており成虫は年中見ることができますが、幼生期の生態についてはまだよく分かっていないようです。アゲハチョウ科の蝶は雌が雄より大きいのが普通ですが、ドルーリーオオアゲハでは雌が雄よりはるかに小さくなっています。


科名アゲハチョウ科 (Papilionidae)
属名アゲハチョウ属 (Papilio)
学名Papilio antimachus
和名ドルーリーオオアゲハ
英名African Giant Swallowtail
分布アフリカ赤道地帯の熱帯雨林
開張15-25cm


1953.11.23
スペイン領ギニア
1960.9.3
中央アフリカ
1961.9.9
ソマリア

1968.9.2
ビアフラ
1976.9.20
中央アフリカ

1978.7.8
コートジボアール
1979.4.9
シエラレオネ


雄の開張が20-25cmに対して雌は15cmくらいで、翅も雄ほど細長くなく、色もやや淡くなっています。この蝶の雄は1785年に発見されましたが、雌については長い間知られていませんでした。1915年(大正4年)、ロスチャイルド男爵の派遣した探検隊によってようやく、最初の雌の採集が行われました。それくらい雌はめったに人前に姿を見せず、現在でも雌が姿を見せない年も多いそうです。しかし、雄については毎年多くの個体が採集されています。

これまで多くの人の努力にもかかわらず、この蝶の生活史と食草についてはまったく分かっていません。ドルーリーオオアゲハの体内には、幼虫時代の食草に由来すると思われる有毒物質が含まれており、雄一頭分の有毒成分で猫六匹が死ぬといわれているくらいです。その優雅な姿とともに謎の蝶として、稀種の一つに数えられています。


キルギスタンから1995年に世界の自然景観を描いた8種のシリーズが発行されました。ビクトリアの滝を描いた1種にドルリーオオアゲハが描かれています。準蝶切手に分類されると思いますが、描かれている蝶はドルリーオオアゲハであることがはっきりと分かります。ザンビアとタンザニアの国境に位置するビクトリアの滝周辺に、ドルリーオオアゲハが生息しているのでしょう。

1995.12.29
キルギスタン



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