中央アフリカ共和国というアフリカの中央に位置する小さな内陸国が、1960年に蝶と蛾を描いたなかなか味のある切手を発行しました。中央アフリカは1960年にフランスから独立しましたが、その独立年の1960年に4種、翌1961年に4種の計8種の蝶と蛾の切手を発行しました。宗主国であるフランスの切手の雰囲気を持っており、凹版印刷の格調の高さが私は好きです。 |
1960.9.3 蝶蛾切手
Dactyloceras luciana (イボタガ科) |
ミズイロフタオチョウ Charaxes ameliae (タテハチョウ科) |
ウスベニフタオチョウ Charaxes zingha (タテハチョウ科) |
ドルーリーオオアゲハ Papilio antimachus ♂ (アゲハチョウ科) |
ドルーリーオオアゲハはアフリカ最大の蝶で羽の両端の長さは30cm にもなります。ドルーリーオオアゲハを描く切手はこの切手以外にもアフリカ諸国から数多く発行されています。例えば、ビアフラの切手にも描かれています。 このシリーズに蛾の切手が1枚含まれていますが、世界各国から発行される蝶と蛾の切手は、蝶だけの純粋なシリーズで発行される場合よりもむしろ、蝶と蛾の混在で発行される場合の方が多いようです。 |
1961.6.10 蝶切手
ベニイロタテハ Cymothoe sangaris ♂ (タテハチョウ科) |
ウラギンフタオチョウ Charaxes nobilis ♀ (タテハチョウ科) |
ウラギンフタオチョウ Charaxes nobilis ♀ (タテハチョウ科) |
ベニイロタテハ Cymothoe sangaris ♂ (タテハチョウ科) |
1961年に発行された4種の切手は低額面のシリーズであり、見たことのある方も多いのではないかと思います。それというのもこの切手は、世界の切手をまとめて袋詰めしたパケットに入っていることが多いからです。それほどありふれた切手です。 ウラギンフタオチョウの切手はこの蝶の特徴である羽の裏側を見せています。フタオチョウというのはアフリカに主として生息するタテハチョウの一種で、後羽の先端が二つに分かれていることからその名があります。 |
1963年には4種の蝶を描く切手が発行されました。ザルモクシスオオアゲハはドルリーオオアゲハについでアフリカで巨大な種類です。 |
1963.11.18 蝶切手
フタスジツマアカシロチョウ Colotis evippe (シロチョウ科) |
オスジロアゲハ Papilio dardanus ♂ (アゲハチョウ科) |
オオサカハチアゲハ Papilio lormieri (アゲハチョウ科) |
ザルモクシスオオアゲハ Papilio zalmoxis (アゲハチョウ科) |
1963年に植物防疫を宣伝する切手として、3種の蛾を描く切手が発行されました。いずれも食草を喰う幼虫とともに小さいながらも正確に成虫が描かれています。 |
1965.8.25 植物防疫宣伝
カギバガの一種 Epicampoptera strandi (カギバガ科) |
オオスカシバ Cephonodes hylas (スズメガ科) |
キバガの一種 Platyedra gossypiella (キバガ科) |
1963年に発行されたオスジロアゲハを描く切手の額面を変更した加刷切手が1965年に発行されました。 |
1965.8.26 通常切手(加刷)
オスジロアゲハ Papilio dardanus ♂ (アゲハチョウ科) |
中央アフリカは1960年と早い時期から蝶切手を発行しており、また現在までもコンスタントにかなりの量の蝶蛾切手を発行し続けています。最近の切手はちょっとデザイン的にも色彩的にもあまり魅力がないのですが、ここに掲載した時期あたりまでは渋くて玄人好みの仕上がりになっていると思います。 |
ヤママユ蛾シリーズとして、1969年にヤママユ蛾ばかりを描く5種の大型切手が発行されました。ヤママユガ科は蝶と蛾の中ではもっとも大型で立派な種が多く、約1000種が知られています。欧米では「emperor moths(皇帝蛾)」と呼ばれることもあります。大きな目玉模様や透明の斑紋を持つ種類が多く、後翅に長い尾状突起を持つ種もいます(下の30fのように)。成虫の口吻は退化しており、成虫になってから食物を摂ることはできません。 |
1969.2.25 ヤママユ蛾
ヤママユガの一種 Holocerina angulata (ヤママユガ科) |
ヨツモンヤママユの一種 Imbrasia dione (ヤママユガ科) |
ヤママユガの一種 Aurivillius aratus (ヤママユガ科) |
リボンヤママユの一種 Eudaemonia troglophylla (ヤママユガ科) |
エピフォラヤママユの一種 Epiphora albida (ヤママユガ科) |