台湾から1958年に発行された昆虫切手で、6種のうち蝶と蛾が2種づつ入っています。台湾は蝶の宝庫と言われており、九州とほぼ同じ大きさの島に約380種もの蝶がいます。日本の蝶は約230種ですから、同一面積当たりの種類と個体数、すなわち生息密度はおそらく世界一と言われています。蝶の採集と標本輸出は台湾の産業の一つです。 |
1958.3.20 昆虫切手
フトオアゲハ Papilio maraho (アゲハチョウ科) |
ヨナクニサン Attacus atlas (ヤママユガ科) |
シロシタサツマニシキ Erasmia pulchella (マダラガ科) |
ナガサキアゲハ Papilio memnon ♀ (アゲハチョウ科) |
フトオアゲハは1932年に初めて採集され大騒ぎになった蝶で、台湾の一部地域にのみ生息する珍しい蝶です。ヨナクニサンは、琉球(沖縄)、ラオスからも発行されています。シロシタサツマニシキは蛾とは思えない美しい種類です。レバノンからもサツマニシキの1種が発行されています。 ナガサキアゲハは日本でも見られる蝶でハイビスカスの花に飛んできます。このナガサキアゲハは後翅の突起がないものとあるものがあります。同じ種類でありながら翅の形、模様、色が異なった型を示すことを多型現象と言いますが、ナガサキアゲハは多型現象を現す代表種と言われています。この切手のナガサキアゲハと同じように、日本では突起のあるものはほとんど採集されません。突起のあるものを採集すると非常に珍しい記録となります。宮崎県に記録が多いようですが奄美や沖縄でも時折採集されます。また、雌の後翅の白い部分は南に行くほど大きく美しくなります。 残り2種の昆虫切手はカミキリムシとコガネムシの仲間です。こちらもどうぞご覧ください。 |
1977年に4種の蝶を描いた切手が発行されました。オオゴマダラは大きな半透明の翅をもつ優雅な蝶です。タイからマレーシア、フィリピン、台湾を経て日本の南西諸島にまで分布しています。通常は森林に生息する種ですが、マレーシアではマングローブの生える湿地に数多く生息しています。 ツマベニチョウは、アジア最大のシロチョウでインドからマレーシア、中国、日本にまで生息しています。日本では南西諸島と九州の南端部に分布します。空き地を好む雄に比べ雌は森からほとんど出てくることはありません。翅の裏には褐色と淡黄色の複雑な模様があり、地面にとまって翅を閉じると枯葉そっくりとなります。アケボノアゲハは台湾の高山にのみ生息する台湾固有種です。雄の後翅裏面には濃い桃色と黒の独特の美しい斑紋があります。 |
1977.7.20 蝶切手
オオゴマダラ Idea leuconoe (マダラチョウ科) |
ツマベニチョウ Hebomoia glaucippe ♂ (シロチョウ科) |
ワモンチョウ Stichophthalma howqua (ワモンチョウ科) |
アケボノアゲハ Atrophaneura horishanus ♀ (アゲハチョウ科) |