世界最初の蝶切手

SARAWAK 英領サラワク
1950.1.3 通常切手

サラワクの切手

アカエリトリバネアゲハ
Trogonoptera brookiana ♂
(アゲハチョウ科)


Sarawak は1963年以降はマレーシアの一つの州になっていますが、この切手の発行当時は、北ボルネオにあるイギリスの植民地でした。このサラワクから1950年の年明け早々に発行された通常切手15種の中の最小額面の1セントの切手が、記念すべき世界最初の純蝶切手となりました。純蝶切手の純とは、蝶を主題としている切手と言う意味です。詳しくはこちらを参照してください。

英国ジョージ6世の肖像とともに描かれた蝶は、アカエリトリバネアゲハという大型の黒と緑の華麗な蝶です。この蝶を発見したのはアルフレッド・R・ウオレスという有名な英国の生物学者です。NHKの衛星放送でウオレスの生涯を特集していたのでご存じの方も多いでしょう。彼はダーウィンと同時に自然淘汰説を唱えており、実際ダーウィンとも親交が深く、「種の起源」には彼の影響がかなり入っていると言われています。

ところでこの蝶の学名「ブルキアナ」は、当時サラワクを統治する首長ジェイムズ・ブルックにちなんでいます。ブルックは東インド会社で働く英国人でしたが、サラワク地方に反乱があった時にサラワク王を助けた功績により王位を譲り受け初代の首長となりました。ウオレスは東南アジアの島々を8年の歳月を費やして探検しましたが、サラワクでブルックに歓待されたことからこの新種の蝶にブルックの名前を付けたものです。


実逓カバー

アカエリトリバネアゲハを描く切手はその後、フィリピン(1969年)、マレーシア(1970年)、シンガポール(1982年)からも発行されています。詳しくは「アカエリトリバネアゲハの切手」をご覧ください。

蝶を主題とした純蝶切手の世界最初の切手を紹介しましたが、蝶にちなむ何らかの図柄を含んだ準蝶切手の世界最初の切手はハワイから1890年に発行されています。



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