タイから発行された蝶切手のシリーズです。1968年、1978年に4種づつ蝶切手が発行されました。この後、1984年にも4種の蝶切手が発行されており、各シリーズともデザインやサイズがほぼ統一され、選択されている蝶の種類も慎重に選ばれていて、風格のある立派なシリーズになっています。 最初の1968年のシリーズはすべてアゲハチョウ科の蝶になっています。キシタアゲハはジャコウアゲハ族のなかのキシタアゲハ属を代表する蝶で、前翅の黒と後翅の黄色の対比が鮮やかで美しい大型のアゲハチョウです。台湾から中国南部、マレー半島、インドにかけて広く分布します。幼虫はウマノスズクサ科の植物を食草とするため、体内に有毒物質をもつ毒蝶に分類されます。1995年以降、沖縄県の波照間島で雌のキシタアゲハが採集され、卵や幼虫も見つかっており生息が確認されています。台湾やインドシナ方面から渡来したものと考えられています。 |
1968.7.1 蝶切手
オオクジャクアゲハ Papilio arcturus (アゲハチョウ科) |
キシタアゲハ Troides aeacus ♂ (アゲハチョウ科) |
ナガサキアゲハ Papilio memnon ♀ (アゲハチョウ科) |
オビクジャクアゲハ Papilio palinurus (アゲハチョウ科) |
1978年の2回目のシリーズでは、マダラチョウ科1種とタテハチョウ科から3種が選ばれました。マダラチョウ科についてはタテハチョウ科の亜科として分類する場合もあることから、前回のアゲハチョウシリーズに続いて今回はタテハチョウシリーズというわけです。最初の発行から10年のブランクにもかかわらず、企画に筋を通しているところはタイ郵政のセンスの良さを感じさせます。 ホソバオオゴマダラは日本にも生息するオオゴマダラの近縁種で、大型で飛び方も優雅な美しい蝶です。森林の水辺で生活しています。ヘリボシフタオチョウやハレギチョウなど残りの3種も東南アジア地域特有の特徴ある種類が選ばれています。 |
1978.8.25 蝶切手
ホソバオオゴマダラ Idea lynceus (マダラチョウ科) |
キゴマダラ Sephisa chandra ♂ (タテハチョウ科) |
ヘリボシフタオチョウ Charaxes durnfordi (タテハチョウ科) |
ハレギチョウ Cethosia penthesilea (タテハチョウ科) |
1984年の3回目のシリーズでは、アゲハチョウ科とタテハチョウ科から各1種の他、ワモンチョウ科から2種が選ばれました。今回の発行も前2回の企画とデザイン、発行数等統一されています。 ワモンチョウ科に属する蝶は中型から非常に大型のものまであり、アジアからオーストラリアにかけての地域にだけ分布します。類縁関係から言えば、南米のモルフォチョウ科に近いのですが、ジャノメチョウ科との共通点もあります。ワモンチョウ類は日光が嫌いで森林のくらいところに潜み、主として夕暮れや宵に活動します。ゴッドフレイワモンチョウは非常に珍しい種でタイ南西部の密林に住む巨大な蝶です。大きさ、形、色つやは世界の蝶の中でも一目置かれる存在です。 |
1984.11.27 蝶切手
シボリアゲハ Bhutanitis lidderdalii (アゲハチョウ科) |
ウスモンワモンチョウ Stichophthalma louisa (ワモンチョウ科) |
トラフタテハ Parthenos sylvia (タテハチョウ科) |
ゴッドフレイワモンチョウ Stichophthalma godfreyi (ワモンチョウ科) |