サンマリノ San Marino

この切手を懐かしいと思われる方も多いのではないかと思います。1963年、日本で最初の切手ブームが始まってしばらく経った頃ですが、サンマリノから恐竜、スポーツ、宇宙などをテーマにしたトピカル切手が数多く発行されました。切手による外貨稼ぎの元祖ともいえるイタリアの中に存在する小国サンマリノから発行された蝶切手です。当時、グリコのおまけとして世界の切手が入っていた時期があり、サンマリノの未使用切手もよく入っていたものです。


1963.8.31 蝶切手

クジャクチョウ
Inachis io
(タテハチョウ科)
アケボノタテハ
Nessaea obrinus ♂
(タテハチョウ科)
ヨーロッパヒオドシチョウ
Nymphalis polychloros
(タテハチョウ科)

クジャクチョウ
Inachis io
(タテハチョウ科)
オオルリオビアゲハ
Papilio blumei
(アゲハチョウ科)


デザインは当時としてはまずまず美しい仕上がりといえるのですが、描かれている蝶は相当いい加減です。クジャクチョウの翅の模様が裏表同じように描かれていたり、胴体から脚がにょきにょき出ていたりと、ちょっと我慢できないくらいです。また、アケボノタテハは南米の蝶であり、オオルリオビアゲハは東南アジアのセレベスの蝶です。なぜこのような自国とはまったく関係のない蝶を選んだのか理解に苦しみます。


1963年の最初の蝶切手から27年後の1990年に2番目の蝶を描いた切手が発行されました。自然保護を訴える5種の中の1種にキアゲハが描かれています。残りの4種には、オトシブミ(昆虫)、メガネヤマネ(哺乳類)、コモチカナヘビ(は虫類)、キクイタダキ(鳥)が描かれています。


1990.10.30 自然保護

キアゲハ
Papilio machaon
(アゲハチョウ科)


1993年には、WWF 世界野生動物基金に協力する保護動物切手として蝶切手4種が発行されました。切手印面左下に同基金のマークであるパンダマークが描かれています。1963年の最初の蝶切手の頃と違い、デザインも洗練され、選択されている蝶の種類もしっかりとした企画にまとめられており、かつての安直なトピカル切手発行の面影はまったくありません。


1993.5.26 保護動物/世界野生動物基金(WWF)

ヒョウモンモドキの一種
Melitaea cinxia
(タテハチョウ科)
キベリタテハ
Nymphalis antiopa
(タテハチョウ科)
ダイダイモンキチョウ
Colias croceus
(シロチョウ科)
ヨーロッパタイマイ
Iphiclides podalirius
(アゲハチョウ科)


ダイダイモンキチョウは、ヨーロッパでもっとも普通に見られるキチョウで、渡りをするタフな蝶として知られています。中部ヨーロッパに多く生息しており、英国でも南岸に多く見られます。しかし、英国では冬の寒さのために幼虫は死滅してしまうため、一年中すみついているわけではなく大陸から毎年渡ってきます。ヨーロッパタイマイは、ヨーロッパから北アフリカから中央アジアを経て中国にまで広く分布するアゲハチョウにもかかわらず、その英名は、Scarce Swallowtail「珍しいアゲハ」となっています。ヨーロッパ各国の切手に採り上げられています。



Copyright(C) 1998-2006 M.Higashide