マラウイ Malawi

マラウイ共和国は、タンザニアの南側マラウイ湖に沿って南北に細長いアフリカ南部の内陸国です。南側はアフリカで最初の蝶切手を発行したモザンビークに接しています。1964年に英国保護領から独立国となりましたが、その2年後の1966年に4種の蝶切手と1種の蝶を描く高額通常切手が発行されました。アフリカキアゲハは、隣国タンザニア(1973年)の通常切手にも採り上げられています。切手のデザインや背景色の使い方も落ち着いていて、なかなか立派な仕上がりになっています。


1966.2.15 蝶切手

アフリカキアゲハ
Papilio ophidicephalus
(アゲハチョウ科)
ディスモンディルリオビアゲハ
Papilio desmondi
(アゲハチョウ科)

Epamera handmani
(シジミチョウ科)
シロモンマダラの一種
Amauris crawshayi
(マダラチョウ科)


小型シート


4種の蝶切手が発行された同じ1966年に、アフリカイシガケチョウを描く高額通常切手が単独で発行されました。額面2ポンドと言う高額の通常切手のため、今ではずいぶん値の張る蝶切手となっています。アフリカイシガケチョウは、日本にも棲息するイシガケチョウの仲間ですが、やはり隣国のタンザニアの蝶切手(1988年)、ケニアの蝶切手(1989年)にも描かれています。


1966.9.7 通常切手

アフリカイシガケチョウ
Cyrestis camillus
(タテハチョウ科)


1970年に4種の蛾を描く切手が発行されました。トラガ科、ヤママユガ科、イラガ科、ヒトリガ科から1種ずつです。イラガ科の蛾が切手に採り上げられたのはこの切手が初めてです。トラガ科は1953年のモザンビークの2種の切手に次いで3枚目です。フタスジムネアカヒトリは、アンゴラ、ジンバブエ、ザンビア、マラウイ、モザンビークにかけて生息する種類で、幼虫はタバコの葉を食草にしています。


1970.9.30 蛾切手

トラガの一種
Aegocera trimenii
(トラガ科)
エピフォラヤママユの一種
Epiphora bauhiniae
(ヤママユガ科)

アオイラガの一種
Parasa karschi
(イラガ科)
フタスジムネアカヒトリ
Teracotona euprepia
(ヒトリガ科)


小型シート


1973年には4種の蝶切手が発行されました。タテハチョウ科のフタオチョウが2種とシジミチョウ科とマダラチョウ科が1種ずつの組み合わせです。マダラチョウ科の1種はアフリカに多いシロモンマダラの一種ですが、切手の印面の学名は、 Euphaedra zaddachi となっており、これはこのシロモンマダラに擬態しているザダックボカシタテハの学名です。切手の原版制作者も見事にだまされた格好です。


1973.2.7 蝶切手

ミズアオフタオチョウ
Charaxes bohemani ♀
(タテハチョウ科)
シジミチョウの一種
Uranothauma crawshayi ♂
(シジミチョウ科)

フタオチョウの一種
Charaxes acuminatus
(タテハチョウ科)
シロモンマダラの一種
Amauris ansorgei
(マダラチョウ科)


学名の間違いに気付いたマラウイは2か月後にさっそく学名を訂正した切手を発行しました。学名の間違いは非常に多いのですが、このように几帳面に訂正した切手を発行した例は他には見あたりません。非常に好感が持てます。


1973.4.5 蝶切手(学名訂正)

シロモンマダラの一種
Amauris ansorgei
(マダラチョウ科)



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