ジブラルタル Gibraltar

ジブラルタルから1977年に発行された通常切手16種のうちの4種に蝶が描かれました。地中海の大西洋への出口であるジブラルタル海峡の北側に位置するジブラルタルは、面積5.8平方km、人口2.7万人のほとんどが岩山からなる小さな植民地ですが、地中海の入口を制する拠点として古くから戦略的要地でした。1713年からイギリス領となっており、現在もスペインはイギリスに対して再三にわたって返還を要求していますが、イギリスはこれにいまだに応じていません。


1977.4.1 通常切手

アリオンゴマシジミ
Maculinea arion ♂
(シジミチョウ科)
ヨーロッパアカタテハ
Vanessa atalanta
(タテハチョウ科)

ダイダイモンキチョウ
Colias croceus
(シロチョウ科)
キアゲハ
Papilio machaon
(アゲハチョウ科)


描かれている蝶はいずれもお馴染みの種類です。岩山ばかりの狭い土地であるジブラルタルにも、アリオンゴマシジミをはじめこれらの蝶が確かに生息していると思われます。

その事実を示すために、実はこの通常切手のシリーズには面白いアイディアが隠されていました。切手の裏側に次のように描かれている蝶の説明が印刷されています。蝶の英名、学名、特徴などが解説されており、各々の蝶がジブラルタルのどの地域で見られるかについても書かれています。この印刷は裏面の糊の上から印刷されており、使用済の切手を水剥がしして裏糊をとってしまうと解説も消えてしまいます。


切手の裏面


Large Blue
アリオンゴマシジミ

Red Admiral
ヨーロッパアカタテハ

Clouded Yellow
ダイダイモンキチョウ

Swallowtail
キアゲハ


1986年にはヨーロッパの自然と環境保全をうたった2種の切手が発行されました。そのうちの1種に再びキアゲハが描かれました。キアゲハを描く蝶切手は世界中から数多く発行されていますが、ここで描かれているキアゲハは、前翅の先端がとがっていることと、尾状突起が細長くなっていることから、北アフリカ亜種を描いたもののようです。1977年の通常切手に描かれたキアゲハはそれとは違い従来のヨーロッパの種類のようです。


1986.2.10 ヨーロッパ自然・環境保全

キアゲハ
Papilio machaon
(アゲハチョウ科)



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