カンボジア王国から1966年に発行された3種の蝶を描く切手です。カンボジアはご存じの通り、1970年の王制から共和制への移行を契機に内戦が続き、現在も不安定な情勢に変わりはありません。内戦状態の民主カンボジア政権(ポルポト政権)時代に多くの蝶切手が発行されましたが、乱発行特有の安っぽさが否めません。それに比べて内戦前に発行されたこの3種の蝶切手は、多少の荒っぽさはあるもののまとまった仕上がりになっていると思います。

1969.10.10 蝶切手

キシタアゲハ Troides aeacus ♂ （アゲハチョウ科）	コモンタイマイ Graphium agamemnon （アゲハチョウ科）	スジグロカバマダラ Salatura genutia （マダラチョウ科）

キシタアゲハはトリバネチョウの仲間(Troides属)で、黒字に金色の紋がある種類です。中国やインドネシアの切手にも登場しています。スジグロカバマダラは、日本では南西諸島にも見られる東南アジアからオーストラリアに生息するマダラチョウです。オオカバマダラによく似ていますが、前翅の先端に白い帯がありオオカバマダラよりも小型です。 切手に描かれている蝶の翅が3種とも下がり気味ですが、昔の展翅(蝶を標本にするときに翅を固定しのばすこと)はこのような形だったようです。実際に蝶自身が花にとまるときもこのような格好でとまります。