アメリカ合衆国 United States of America

アメリカ合衆国からはじめて純蝶切手が発行されたのは1977年でした。主要国としてはちょっとで遅れたかなという感じです。切手の出来映えも今一つという感じで、27年前に発行されたスイスの児童福祉切手の出来映えと比較すると残念としか言いようがありません。もっともスイスの切手は出来が良すぎていまだにそれを超える切手は出てきていないように思いますが...


1977.6.6 蝶切手

オレゴンキアゲハ
Papilio oregonius
(アゲハチョウ科)
ヒガシシマヒョウモンモドキ
Euphydryas phaeten
(タテハチョウ科)

カリフォルニアイヌモンキチョウ
Zerene eurydice ♂
(シロチョウ科)
アメリカツマキチョウ
Anthocharis midea ♂
(シロチョウ科)


出来は今一つなのですが、選ばれた蝶の種類はさすがアメリカと言えます。と言うのも、ハワイとアラスカを除くアメリカ本土のほとんどの州に、選ばれた4種の蝶のうち少なくとも1種が分布しているからです。

しかもこの4種の切手は田型連刷になっており、その位置関係はちょうど上記のように並んでいます。左上のオレゴンキアゲハがアメリカ西北部、右上のヒガシシマヒョウモンモドキがアメリカ東北部、左下のカリフォルニアイヌモンキチョウがアメリカ西南部、右下のアメリカツマキチョウがアメリカ東南部が産地となっています。民主国家アメリカの面目躍如と言うところでしょうか。


最初の蝶切手の発行から10年後に野生動物を描く切手が発行されました。哺乳類、鳥類、は虫類など全部で50種の切手が連刷で1シートになっています。この中に蝶が2種、蛾が1種、テントウムシを描く1種と合わせ昆虫が4種含まれています。


1987.6.13 野生動物

オオカバマダラ
Danaus plexippus
(マダラチョウ科)
アメリカオオミズアオ
Actias luna
(ヤママユガ科)
メスグロトラフアゲハ
Papilio glaucus
(アゲハチョウ科)


オオカバマダラはもっとも有名な蝶の一種であり、世界中に生息しています。元々はアメリカに生息していたのですが、渡りによりインドネシアから、オーストラリア、カナリア諸島にまで分布を広げ、最近では地中海地方にも定着しています。有毒種であり、カバイロイチモンジが擬態することで有名です。

アメリカオオミズアオは非常に美しいヤママユガであり、後翅には長い尾状突起があります。アメリカからメキシコにかけて広く分布しますが、カナダ南部やアメリカ北東部では都市化などの環境の変化により数が減っています。メスグロトラフアゲハは北アメリカに広く分布する大型のアゲハチョウで、雄と一部の雌は黄色地に黒色の縦縞があります。分布域の南部の雌は黒色か黒褐色で、有毒種であるアオジャコウアゲハに擬態していると見られます。


1996年には、「絶滅に瀕した動物」と題した15種の絶滅危惧種の連刷切手が発行され、そのうちの1種にアゲハが描かれています。描かれたシャウスアゲハ(Schaus' Swallowtail)は、南フロリダにのみ生息しており、バハマやケイマン諸島など西インド諸島に生息するアンドラエモンアゲハ(Papilio andraemon)に非常に近い種類です。同時に発行されたその他の14種の切手には、オセロット、フロリダマナティー、カリフォルニアコンドル、アメリカワニなど、哺乳類、鳥類、爬虫類、両生類、魚類と幅広く選ばれています。昆虫はこの1種のみです。


1996.10.2 絶滅に瀕した動物

シャウスアゲハ
Papilio aristodemus
(アゲハチョウ科)



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