韓国 Republic of Korea

日本の隣国、韓国からの蝶と蛾の切手です。最初に発行されたのは蝶ではなく蛾の切手です。1954年に通常切手としてヤガ科のシロスジトモエが描かれました。韓国の国旗である「太極旗」とともに描かれていますが、大極とは易学でいう宇宙生命といったもので、中央の巴状の円のことをいいます。この巴状の大きな紋がその名に示すように「シロスジトモエ」の前翅にあることから、韓国ではこの蛾を特別なものとして扱っているのだと思います。シロスジトモエは開帳30mm前後で中国、朝鮮半島および日本全土にも広く分布しています。


1954.4.16 通常切手

シロスジトモエ
Metopta rectifasciata
(ヤガ科)


1966年には3種の昆虫切手が小型シートとともに発行されました。ヘイケボタルとウマオイにホソオチョウというアゲハチョウです。ホソオチョウはロシア沿海州から中国大陸、朝鮮半島に生息するアゲハチョウですが、1978年頃に人為的に日本に持ち込まれたようで、関東周辺や近畿地方でも生息が確認されています。


1966.9.15 昆虫切手

ホソオチョウ
Sericinus telamon
(アゲハチョウ科)


小型シート


1972年にはYWCAの50周年を記念してキチョウを2羽描切手が発行されました。YWCAとは Young Women's Christian Association の略称で、 1855年にキリスト教を基盤とした「女性団体」として英国で生まれました。現在、約80余カ国が加盟し、本部をスイスのジュネーブに置く国際的な組織です。


1972.4.20 YWCA 50年

キチョウ
Eurema hecabe
(シロチョウ科)


1976年には本格的な蝶シリーズが2種づつ5回に分けて発行されました。選ばれた種類はアゲハチョウ科が5種、タテハチョウ科が4種、シロチョウ科が1種となっています。当然ですが日本にもお馴染みの種類が多く含まれています。

ヒメギフチョウはギフチョウに近縁の種類ですが、ギフチョウが日本固有種であるのに対して、ヒメギフチョウはギフチョウよりもやや冷温地域に生息し、日本(中部以北の本州と北海道)のほか、ロシア沿海州から朝鮮半島に分布しています。


蝶切手

1976.1.20
マドタテハ
Dilipa fenestra ♂
(タテハチョウ科)
ヒメギフチョウ
Luehdorfia puziloi
(アゲハチョウ科)

1976.3.20
ナミアゲハ(春型)
Papilio xuthus
(アゲハチョウ科)
アカボシウスバシロチョウ
Parnassius bremeri
(アゲハチョウ科)

1976.6.20
モンキチョウ
Colias erate ♂
(シロチョウ科)
ジャコウアゲハ
Atrophaneura alcinous ♀
(アゲハチョウ科)

1976.8.20
アカボシゴマダラ
Hestina assimilis
(タテハチョウ科)
アオスジアゲハ
Graphium sarpedon
(アゲハチョウ科)

1976.10.20
オオウラギンヒョウモン
Fabriciana nerippe
(タテハチョウ科)
ヒオドシチョウ
Nymphalis xanthomelas
(タテハチョウ科)


マドタテハ、ナミアゲハ、アカボシウスバシロチョウの3種は日本には生息していません。アカボシゴマダラは日本では奄美諸島にのみ生息しています。アオスジアゲハやモンキチョウなど日本でも一般にお馴染みの種類ですが、日本切手にはまだ登場していません。オオウラギンヒョウモンだけが、1990年の郵便切手デザインコンクールの「緑の世界」と題するデザイン画に登場しています。



Copyright(C) 1999-2006 M.Higashide