チリ Chile

南米のチリから1948年に発行された蛾を描いた切手です。同国の博物学者Claudio Gayの主著「チリ博物誌」の出版100年を記念して発行されたもので、縦5種×横5種の25種連刷の各印面にチリの動植物が1種づつ描かれています。この中に昆虫が3種選ばれており、その中の1種にカストニアガが描かれています。残り2種はクワガタとカマキリを描いたものです。この25種連刷の動植物が3額面で発行され合計75種のロングセットになっています。

1948年の発行は、1930年に発行されたレバノンのカイコを描く世界最初の純昆虫切手につづく2番目の純昆虫切手であり、野生の昆虫を描いた最初の純昆虫切手になりました。青、緑、赤の単色刷りですが素朴な中に動植物をしっかり捉えた素晴らしい仕上がりだと思います。


1948.12.6 Claudio Gay「チリ博物誌」出版100年

カストニアガの一種
Castnia eudesmia
(カストニアガ科)


描かれた蛾の属するカストニアガ科は、約200種からなる比較的小さなグループです。中南米に生息している昼行性のやや大型の蛾であり、しばしば蝶と間違えられます。色鮮やかな後翅に比較し前翅はくすんだ色彩で静止時に保護色になっています。脅かされはばたくことにより鮮やかな色彩の後翅が現れ、捕食者への警戒色になっていると考えられます。残念ながら単色刷のこの切手では前翅と後翅の違いは分かり難いかと思います。


残り2種の昆虫切手25連刷全体 もぜひご覧ください。



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