ヒマラヤ山脈の南東部に位置する小国ブータンから、1975年に9種の蝶切手が発行されました(1種は小型シート)。実はブータンからは1968年に世界最初の立体切手として蝶切手が発行されています。この立体切手は表面をギザギザに加工してレンズ効果を出したものですが、ちょっと私としては受け入れかねる切手です。1975年にまともな紙の蝶切手が発行されました。 ブータンは国土の大部分が標高2000メートル以上の山地であり、描かれている蝶も高地に生息する種類が中心です。チャイロタテハは、インド、パキスタンからマレーシア、インドネシアにまで分布しており、森林を生活空間にしています。切手に描かれているのは雄で全体にオレンジ色をおびた褐色ですが、雌は灰褐色に翅の中央を白い帯が貫いています。シボリアゲハはギフチョウに近い美しい種類ですが、収集家に狙われて数が減少しています。インドやタイにも分布していますが、低山帯のの森林ではほとんど見られなくなっています。オオチャイロイチモンジは、インド、パキスタン、ミャンマーの森林でごく普通に見られ、7,8月には標高2440メートルまでの山地の森林で活動します。

1975.9.15 蝶切手

キゴマダラ Sephisa chandra ♀ （タテハチョウ科）	オナガチャイロヒカゲ Lethe kansa （ジャノメチョウ科）

キマダラヒカゲの一種 Neope bhadra （ジャノメチョウ科）	ニジオビイナヅマ Euthalia duda （タテハチョウ科）

チャイロタテハ Vindula erota ♂ （タテハチョウ科）	シボリアゲハ Bhutanitis lidderdalii （アゲハチョウ科）

オオチャイロイチモンジ Limenitis zayla （タテハチョウ科）	シロモンアカネシロチョウ Delias acalis （シロチョウ科）

ギアスアゲハ Meandrusa gyas ♀ （アゲハチョウ科）

小型シート