世界最初の蛾の切手

LEBANON レバノン
1930.2.11 蚕業会議記念

カイコガ(幼虫、繭、成虫)
Bombyx mori
(カイコガ科)


世界最初の蝶切手は 1950年のサラワクの通常切手ですが、最初の蛾の切手は、 1930年にレバノンのベイルートで開かれた蚕業会議記念のカイコを描く6種の切手です。この切手は世界最初の純昆虫切手でもあります。

図案には、カイコの成虫、幼虫、さなぎ、それに食草の桑の葉が描かれており、最初の純昆虫切手にふさわしく、なかなか味わいのある仕上がりになっていると思います。カイコガは、何千年もの昔から人によって飼育され、その繭から絹が生産されてきました。野生のものはもう残っていませんが、蚕糸業が確立された紀元前 2600年頃の中国あたりに、その原型となる種が棲息していたものと考えられています。成虫は飛ぶことはできません。

ところでベイルートで開かれた蚕業会議ですが、シリア、レバノン地域の蚕業振興を目的として、シリア政府がフランスの援助を受け、エジプト、パレスチナの近隣諸国の代表や英仏の領事なども出席した国際会議でした。シルクロードの歴史を背景に持つ国によって発行された最初の蛾の切手として、意義深い切手になっています。



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