蝶の名前(表記方法)

切手への名前表記 蝶や蛾の名前には、和名、英名などのように国や地域に固有の通称と、分類学上万国共通の学名があります。西田豊穂さんの著書「蝶の切手」では、蝶切手に名前がどのように入っているかで次のように分類しています。

A型蝶の名前が何も入っていない切手
B型通称だけ入っている切手
C型学名だけ入っている切手
AB型通称と学名の両方が入っている切手

実際の例をヨーロッパアカタテハを描く切手でご覧ください。ヨーロッパアカタテハの通称(英名)と学名は次の通りです。

和名ヨーロッパアカタテハ
英名Red Admiral
学名Vanessa atalanta


蝶の名前が何も入っていない切手

1950.12.1
スイス


通称(英名)だけ入っている切手

1981.2.24
ガーンジー島


学名だけ入っている切手

1985.9.23
ルクセンブルグ


通称(英名)と学名の両方が入っている切手

1985.4.11
アイルランド


変わった名前表記 切手本体の印面ではなく、耳紙(シートの周囲の切手以外の部分)やタブ(シートに印刷されたラベル)、あるいは小型シートの説明文などに蝶の名前が記載されている場合があります。具体例をいくつかご覧ください。


耳紙に名前が入っている切手

ヨーロッパシロジャノメ
Melanargia galathea
スイス (1952.12.1)

スイスの児童福祉切手のシリーズには、切手本体の印面には通称も学名も入っていませんが耳紙に学名が入っています。学名の他、通称を印刷した耳紙もあります。スイスでは、ドイツ語、フランス語、イタリア語の3つの言語がいずれも公用語のため、名前を表示するとなると3つの表記が必要になるため、このような処置がとられたのだと推測されます。したがって、学名の他、3か国語それぞれの通称の合計4種類の名前が印刷された耳紙が存在します。


タブに名前が入っている切手

ヘリグロツマキチョウ
Zegris eupheme ♂
イスラエル (1965.12.15)

イスラエルの蝶切手にはタブが付いており幼虫が描かれています。その幼虫とともに学名が記載されています。切手本体の印面には学名の記載はありませんが、イスラエルの公用語であるヘブライ語の通称が記載されているようです(ヘブライ語がよく分からないので推測ですが)。切手印面の右側がヘブライ語の通称と思われます。


小型シートに名前が入っている切手

ホソオチョウ
Sericinus telamon
韓国 (1966.9.15)

韓国から1966年に発行された昆虫切手は、単片での発行の他、各々無目打ちの小型シートも同時に発行されました。切手本体の印面には朝鮮語による通称が記載されているだけですが、小型シートには通称とともに学名もきちんと記載されています。



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