アカエリトリバネアゲハの仲間

あざやかな緑色の三角模様に縁取られた長い前翅が特徴の、アカエリトリバネアゲハは記念すべき「世界最初の蝶切手」に描かれた蝶です。学名(brookiana)、英名(Rajah Brooke's Birdwing)は、サラワクの初代首長ラージャ・ブルックにちなんでいます。


科名アゲハチョウ科 (Papilionidae)
属名アカエリトリバネアゲハ属 (Trogonoptera)
学名Trogonoptera brookiana
和名アカエリトリバネアゲハ
英名Rajah Brooke's Birdwing
分布マレーシア、スマトラ、ボルネオ
開張12-17.8cm


1950.1.3
サラワク
1970.11.16
マレーシア
1982.3.3
シンガポール


マレーシアを代表する蝶であるアカエリトリバネアゲハはいくつかの亜種に分かれていますが、サラワクの切手に描かれているのが原亜種です。マレーシアとシンガポールに描かれているのは原亜種に近いWhitish(やや白い)と言う亜種です。

いずれの亜種も雄は黒地にあざやかな緑色の模様がありますが、雌はくすんだ緑地に白色か緑色の斑紋があるものや、黒地に緑色の斑紋があるものまでいます。また、雌の後翅の基部には美しい青色の金属光沢がよく見られます。熱帯雨林の中を空高く力強く滑空し、雄はしばしば集団でぬかるんだ川岸で吸水します。時には100頭を越える大吸水集団を形成し、一斉に舞い上がったときなどは、コウモリの群飛を連想させるほどの壮観だそうです。


科名アゲハチョウ科 (Papilionidae)
属名アカエリトリバネアゲハ属 (Trogonoptera)
学名Trogonoptera trojana
和名パラワンアカエリトリバネアゲハ
分布パラワン島


1969.9.15
フィリピン


アカエリトリバネアゲハにごく近い種として、パラワンアカエリトリバネアゲハがいます。フィリピンのパラワン島特産の固有種で、習性はアカエリトリバネアゲハに似ており、アカエリトリバネアゲハのパラワン亜種(トロヤナ)として分類する場合もあるようですが、前翅から後翅に続く一連の緑色の斑紋がパラワン種の場合はやや幅が狭く外観がかなり異なることから、ここではパラワンアカエリトリバネアゲハとして別種に扱います。

パラワン島は山が海岸に迫っており、川原からすぐに海辺となる場所が多いため、河口の波打ち際を舞いながら、海岸の砂地で吸水する個体が見られることもあるそうです。パラワン島の住民は蝶のことをタガログ語でパルパロと呼びますが、このトロヤナだけは特別にバジョバジョと呼んでいます。



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