モンゴル Mongolia

東アジアの内陸国モンゴルから発行された蝶切手です。1963年と蝶切手の歴史の中では比較的早い時期の発行です。図鑑的に蝶を描いたオーソドックスな仕上がりになっています。選ばれている蝶はモンゴルに生息する各科の代表的な種であり、背景にはしっかりと食草が描かれています。

キアゲハ、クジャクチョウ、アポロウスバシロチョウ、ヤマキチョウ、コヒオドシなどヨーロッパ大陸からアジア北部に広く分布する、いわゆる動物地理学でいう旧北区の代表的な蝶ばかりです。地味ではありますがしっかりした内容のシリーズで私の好きな蝶切手の一つです。


1963.11.7 蝶切手

クジャクチョウ
Inachis io
(タテハチョウ科)
ヤマキチョウ
Gonepteryx rhamni
(シロチョウ科)

コヒオドシ
Aglais urticae
(タテハチョウ科)
アポロウスバシロチョウ
Parnassius apollo ♀
(アゲハチョウ科)
キアゲハ
Papilio machaon
(アゲハチョウ科)

シロスジシジミ
Agrodiaetus damon ♂
(シジミチョウ科)
オオイチモンジ
Limenitis populi ♂
(タテハチョウ科)


1974年には8種の蝶と蛾を描く切手が発行されました。蝶は1963年のシリーズにも描かれた最低額面のオオイチモンジ1種だけで、残りはすべて蛾を描いています。モンゴルには蝶があまりいないのかと思ってしまいますが、なぜ、蝶が1種だけなのか、どうしていっそのこと全部蛾にしなかったのか、企画の意図がよく分かりません。

額面30mのボクトウガ科が切手に採り上げられるのは珍しいです。スペイン領サハラから1964年に1種発行されていますが、この切手は2番目のボクトウガ科です。ボウトクガ科の蛾は世界各地に約500種知られています。一般的にくすんだ色彩の種が多く、幼虫は木の枝や幹に孔をあけて材を食べます。彼らの食物は栄養価が低いので、成虫になるのに数年もかかる種もいるそうです。


1974.1.15 蝶蛾切手

オオイチモンジ
Limenitis populi
(タテハチョウ科)
シロスジヒトリ
Ammobiota festiva
(ヒトリガ科)
ゴマベニシタヒトリ
Rhyparia purpurata
(ヒトリガ科)

シタバガの一種
Catocala pacta
(ヤガ科)
ボクトウガの一種
Isocerus kaszabi
(ボクトウガ科)

アカオビスズメの一種
Hyles costata
(スズメガ科)
ヒトリガ
Aretia caja
(ヒトリガ科)
モンヘリアカヒトリ
Diacrisia sannio ♂
(ヒトリガ科)



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