モナコ Monaco

フランスの南部、地中海に面した小国のモナコから派手さはありませんが質の良い蝶切手が発行されています。1970年に野生動物の保護を訴える6種のキャンペーン切手が発行されました。その中の1種がアポロウスバシロチョウを描いた切手です。フランスの切手のように凹版刷りの美しい切手です。たった1種ですが私のお気に入りの切手の一つです。


1970.5.4 野生動物保護切手

アポロウスバシロチョウ
Parnassius apollo
(アゲハチョウ科)


ヨーロッパではアゲハチョウ科はたった10種しかいません。キアゲハやヨーロッパタイマイなどですが、蝶の種類が少ないヨーロッパにあってはこれらのアゲハチョウは大型で美しい蝶の代表として切手の図案にもしばしば採り上げられます。アポロウスバシロチョウも数少ないアゲハチョウ科の蝶としてヨーロッパでも人気の蝶です。スイス(1955年)を始め切手にも何回となく登場しています。


1973年にはファーブルの生誕150年を記念した切手が発行されました。ファーブルは南フランスに生活し、蜂や甲虫を中心にその生態をファーブル昆虫記に綴りました。モナコはその地に近いと言うこともあり馴染みが深いのでしょう。やはり凹版の美しい切手に仕上がっています。


1973.4.30 ファーブル生誕150年記念

オオクジャクヤママユ
Saturnia pyri
(ヤママユガ科)


切手の印面にはオオクジャクヤママユ以外にもファーブル昆虫記に出てくる昆虫が何種類か描かれています。ウスバカマキリ(Mantis religiosa)、トネリコゼミ(Tibicen plebejus)、キンイロオサムシ(Carabus auratus)などです。オオクジャクヤママユの幼虫も描かれています。

ヨーロッパ最大の蛾であるオオクジャクヤママユはファーブル昆虫記第7巻の最後(岩波文庫では第14分冊)に登場しますが、1羽の雌を篭に閉じこめて窓を開けておいたところ、偶然にも40羽近くの雄が家中に入ってきて大騒ぎになったという有名なエピソードです。ファーブルはこの経験から雌には雄を引き付ける何らかのにおいを出しているのではないかと推測しています。今で言うフェロモンなのですが、実際にフェロモンが有効に働くのは雌の周囲1m位であるというのが現在の研究結果だそうで、ファーブルの家の中に40羽もの雄が引き付けられたのはこの雌のフェロモンによるものだけであったかどうか、今となっては?です。



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